対談企画遂に最終章へ。
じゃあ、どうやったら子供はFOOTBALLが上手くなるのか?
それぞれの現場で体感している事をお話してくれた3人の言葉は実はFOOTBALLをやっている子供だけではなくて、あらゆる日常のシーンで我々が直面している【育成】というシーンに当てはまる。
フットボールのジュニア世代の育成
子育て
企業における人材育成
今まさにこれらに直面している皆様に、指導者としてFOOTBALLの最前線に立つ3人の言霊を是非感じて欲しい。
第一弾記事
REAL FUTEBOL GUIDANCE vol.1
第二弾記事
REAL FUTEBOL GUIDANCE vol.2
湘南ベルマーレフットサルクラブ監督 奥村敬人
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サッカースクールブリンカール代表 古居俊平
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元アグレミーナ浜松監督 豊島明
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RODA創設者 鶴見俊輔
対談 2019.12.19
ブリンカールサッカースクール代表 古居 俊平
子供たちを夢中にさせるメソッドを展開するブリンカールサッカースクール代表。
JFAバーモントカップ第29回全日本U-12フットサル選手権大会でチームを優勝に導く。
湘南ベルマーレフットサルクラブ監督 奥村 敬人
神奈川フットサル界のレジェンドの一人。
P.S.T.C. LONDRINAから現在は湘南ベルマーレフットサルクラブの監督を務める。
アグレミーナ浜松前監督 豊島 明
元フットサル日本代表の経験を持ち、鶴見とは同世代で親交も深い。
2児の父。2015-2019アグレミーナ浜松の監督も務めた。
フットサルショップRODA創設者 鶴見 俊輔
当対談企画の司会進行担当。フットサルを生業に2006年に専門店をオープン。
現在、膝を壊して蹴ることは小休止。2児の父。
上手くなるには。
RODA鶴見
じゃあ、すっごい質問、この質問いいですか?
最終的に上手くなるためには、どうすれば良いですか?
ざっくりなんですけど。
保護者さんが聞きたい質問としては、「プロに近づくためには何をすればいい?」
そういうところってあるじゃないですか。結局のところ。
なんて答えていますか?
BRINCAR古居代表
さっきの話の中にもありましたが、
プロはみんな目指すべきだと思っています。声を大にして言えと、みんなには言っています。見栄でも言霊でも言ったら言った方向に進んでいくので。
プロになりたいと考えていったときに、今の自分に何が足りないのか、という風に考えられるようになるので。そして、こうしなきゃいけない、ああしなきゃいけないと。
もう言ってしまえば、自分で今の課題とか、環境とか変えるために行動をしなくてはいけないので。
皆さんが言う自立だとか、自分で率先してやらなくてはいけない、という風に人間的な成長を求められてくるようになります。
そういう流れの中で僕が考えるのは、どう夢中になるかということですね。夢中に。
とにかくそれに対してすべてを捧げているのか。
今回僕らが全国優勝した時、子供たちに優勝したければ「ゲームやめろ」って言いました。
やめられるか、やってみろって。
これはゲームをやめろって直接的なことではなくて、ゲームをする時間を優勝するための時間にしろということですけれど。
体幹、ストレッチ、映像を見る、何かそういったことを自分でやったらどう?というとこで。
結局、夢中にする。真剣にそっちに向き合わせるんですけど。逃げられないように。
どういう風に夢中にさせるか。なっちゃえば上手くなるので。
要は、言われてから練習するのではなくて、
自分からやっちゃう。
終わった後も悔しくて泣いちゃう。
僕ら(ブリンカールサッカースクール)、プロが3人出ていますが、3人のサッカー選手、プロになったやつらを見ていると、どんなことでも負けたら泣いちゃうし、ドリブル競争やっただけで、「えっ、泣いちゃった!」みたいな。
すごくこう、それが全てみたいな感じで生活しています。
遊びに行くって言ったらボールをもって。キャプテン翼じゃないけど(笑)常にボールを蹴っているみたいな。
まず子供たちが、少しでもそういうマインドになっているのか。
そういった中で、いろいろ試す訳ですけれども、さっき言ったリフティングとかドリブルとかもそうですけど、成功体験を増やす中で夢中にしていって、自分がプロになりたいというなかで、逆算で足りないことに対して日々追求できるよう持っていくようにしています。
それを保護者に一言で説明してくれと言われても、なかなか難しい。
夢中になるためにはどうするのかっていう風になるので。
RODA鶴見
夢中になる第一歩はやっぱり家庭からなのかなと思いますが、どういった形が理想ですか?
まず保護者さんが一緒にどういったことをやったほうが良いとか。
BRINCAR古居代表
僕からすると、もう、全てを肯定してあげる。
ということが大事ですね。
否定されて、強制されるほど、飽きてやらなくなってしまうので。
我慢、忍耐、待つことですね。やっぱり。出来るまで。
さっき言ったリフティングも、ドリブルもそうですけど、もしリフティングも出来なかった子がいて、ふと外に練習をしに行っただけでOKとする。
大体の人は戻ってきたときに「何回出来たの?」「5回じゃ少ないよ。もっと出来ないと」みたいな感じになってしまいますよね。そうではなくて、難しいですけど、一つ一つの子供たちの自発的なアクションに対してもう少し肯定的に褒めてあげる。人間はやっぱり褒められれば喜んでまた行動するので。
上手くそういった子供たちの向上心というか、やりたいっていう気持ちを育ててあげれば、あとは自動的にノってくると僕は思っています。
どういう風に我慢して、忍耐して、押し付けずに待って、それが伸びるようにするのかというところは、保護者も頑張りなさいと思うんです。
子供たちも頑張っているのだからと。
それも指導者が解ってやっているかどうかというところもあるので、難しいところなんですよね。親も口出ししたくなっちゃうじゃんって話になってしまっているので。
僕的にはそこのレールに乗せちゃえば、好きになっちゃえば、夢中になっちゃえば、どんなことでも頑張れるし、課題も克服できるものだけれど。
夢中になる過程をどう作るのかっていうのが。
子供たちの世界の楽しさを奪っちゃいけないっていうか。
だから個サルとかでもそうですけど、
誰もいない、指導者がいない中で、子供たちが自分たちで考えて楽しそうに蹴っている環境というのは非常に良いかなと。
他の人から見ると、いやいやもうちょっとこうゆう風にやってとか、こうやったほうが楽しいんじゃないか、みたいな知恵を与えたくはなるんですけど、子供は子供の世界観があったりするので、それをどう守って大切にするかというのが根本にあるのかなと思います。
RODA鶴見
うーん。なるほど。
敬人さん、どう思いますか?
同じ質問をさせてもらいますと、家庭で出来る何か、ありますか?
奥村監督
すごく難しいですね、これ。
BRINCAR古居代表
まぁ、一つじゃないんですよね。いろんなことが複合的に必要になってくると思うので。
奥村監督
うーん。親が、というところでしたら。
やっぱり子供の邪魔をしちゃいけないのかな。
いくら夢中になっても、親がこの環境は合わないって言って辞めさせちゃうというのもありますし。
子供のやりたいように、まずやらせてあげるというのがそもそも重要なのかなと。
まぁ、小学生(の時点)とかで勝負かけても、ね、結局そこじゃない。
プロになるにはその先も全然あると思うし。
それまでにどれだけ成功、失敗させてあげられるかという事がすごい重要なのかな。
常に勝っているチームでずっと勝っていても、良い事かもしれないけれど、もしかしたらそれが良くない事かもしれないですし。
明確な答えをだすのは難しいですね。
うーん。
自分が親じゃないので(笑)
子供がいたらまたちょっと違うのかなとか思うんですけど。
RODA鶴見
トップチームの選手たちはもうすでに夢中なんですか?
フットサルにおいて。
奥村監督
夢中じゃない選手も当然いますよ(苦笑)
(一同笑)
奥村監督
そこは、さすがに、いるんですよ。うーん、もちろん少数ですよ。
なんつったらいいですかね…。
ぼくらって、フットサルという競技がサッカーからというか。
もともとサッカーやっていて、フットサルに出会って、その楽しさというものを追求するためにやっていたんです。
けれども今って、サッカーを辞めてポンっと入ってきて、そこで満足しちゃう選手もいて。
僕らフットサルをこう、追求して…
RODA鶴見
はい、追求しまくっていますよね。
奥村監督
うーん。というところで。
難しいですけどね。
それを俺らはこうだったと言っても、多分それは違いますし。
今は今の時代の考え方があると思うので。
うーん。
邪魔しないってことですかね。
子供にとことんやらせてあげるって事だと思います。
RODA鶴見
豊島(前)監督はいかがでしょうか。夢中にさせるには。
豊島前監督
一つ言えることは、やっぱり過剰な期待をかけるのは良くないのかな。
それが子供へのプレッシャーになっちゃうので、それが足かせになることが大いにあるので。
親も適度な距離感をとる。入り過ぎるのもダメだし、全く入らないのもダメだし、親はそこのバランス常に考えないといけない。
離れすぎても良くないタイミング、入り過ぎるのもダメなタイミングがあると思います。
ここのバランスをしっかり観察しながら、適度な距離感をとることが大事だと思います。
日本のサッカークラブのトップカテゴリーの中には、完全に親と遮断しているとことかもあります。それが良いか悪いかというところは別として、クラブとしてはそこを一線引く、それは距離感を意識してのものであると。
だからこそ親は、クラブが言っているから全部突き放してクラブに任せればいいっていうことでもないし、逆に過剰に子供の世界に入り過ぎるのも良くないので。
今の子供たちに対して、指導者達が言い過ぎるのも社会的な部分で難しくなってきていて、そこのバランスが非常に重要で、どの声掛けがその子にとってのピンポイントなのかっていうのはそれぞれで、全員一緒ではないです。
それを親とかも考えながら接していかなくてはならないのかなと思います。
インターネットで調べたどっかの情報が全部適合するとは思えないし、親もケースバイケースで、探り探りアプローチの仕方を間違えないようにしていかないと。
それはもちろん指導者も同じだと思いますが。
育成において、声のかけ方、タイミングなどそこの部分において、親も指導者も成長が必要になってくるかなと思います。
RODA鶴見
それって、トップチームの選手たちにも当てはまってきますか?
豊島前監督
トップカテゴリーに関しては甘い言葉ばっかりかけていても、かな。
飴と鞭なんて言いますが、時には厳しいことを言わないといけないし、ずっと「オッケ、オッケ」とも言ってられないから。
トップカテゴリーにおいてはちょっと違うかなと思います。
RODA鶴見
選手によって使い分けるという意味では?
豊島前監督
まあ、それは絶対的に必要になってくるところではあります。
ただ、育成はちょっとトップカテゴリーと目的が違うから。
奥村監督
ま、一つ言えるのは、
トップの選手も育成年代の子もそうですが、
人それぞれ考え方が違う、性格も違う、その子の事をいかに、どこまで解ってあげられるか。人間性の部分とかもそうだし。指導者としては必要なのかなと思います。
植松努さんて方、ご存じですか?北海道で、自社で宇宙ロケット開発をやっているという。ブログとか講演動画とか拝見させてもらっているんですが、子供がやりたいって言ったことを、自分も一緒になって、好きになってやってあげることが重要といったことをおっしゃられていて。
植松さんは幼少期、自分がやりたいってことを学校の先生に全否定されて育ってきたと。
今、話していた中でふと思い出しました。
一緒になって真剣に考えてあげること。
RODA鶴見
聞けば聞くほど会社の経営、マネジメントと一緒の話という部分もでてきますね(笑)
奥村監督
そうですね。結局、大きいところでは人と人なので。