REAL FUTEBOL GUIDANCE vol.3

RODA鶴見
子供たちのフィールド以外での練習として、サッカーノートとかあるじゃないですか。ああいうのってどうですか?

BRINCAR古居代表
ああ。二年前くらいまでやっていましたよ。
サッカーノートを書いて、頭の中を整理して、というような事を。
あと、スポーツメンタルも、ルーティンもやっていました。

RODA鶴見
ジュニア年代でのスポーツメンタルって具体的にどういった取り組みをするんですか?

BRINCAR古居代表
僕らのスポーツメンタル自体は、要は目標設定シートというのを作って頭の中を整理する。
例えば、全国優勝っていったら、それに必要な技術、体力、判断力。じゃあその判断力を養うには普段からどうやるのかところで、自発的に自分でやる。
要は身近なところから何をしなきゃいけないかを頭の中で整理させて、自分の出来ないことをそういう風に理解して、言語化して、ロジカルに考えるような形に持っていく。

RODA鶴見
それはアンダーいくつくらいでやるんですか?

BRINCAR古居代表
僕らはU10からかな。4年生からやらせていましたけどね。

RODA鶴見
二年前にやめたって理由は何だったんですか?

豊島前監督
確かに、そこ気になりますよね。(笑)

BRINCAR古居代表
それは、、、
まあ、誰のためにやっているかという事。
小学校の頃それやって楽しいですか?というのを僕は考えました。
それをやらせたいのは大人であって、子供たちではない。

心技体含めていくと技術的にも体力的にも引き上げられるのに、心を育てるのはどうするのか。
僕らからすると愛知県大会何連覇もしていると相当なプレッシャーになるんです。
みんなからの圧力、熱量とかも含めて本当に凄いです。勝たなきゃいけない。勝つことが当たり前の世界の中で行くと、子供たちが恐怖を感じナーバスになる。それこそ帯状疱疹でたり、チック症なんかになってしまうんです。それほどのストレスを抱えてしまうんです。
こういった事を少しでも排除できないかというところで、じゃあ、こういったスポーツメンタルを取り入れることで、心のメカニズムというものをみんなに伝えて、そうならないようにする為に普段からサッカーノート書いたりして、自分の原因を追究しながら、次はこうしようとポジティブにとらえてやっていこうと頭の中で整理していけるようにしていたんですけど。。。

やめたんです。(苦笑)

(一同笑)

BRINCAR古居代表
理由は、
僕らが先に知恵をあたえるのか。
そうじゃなくて、悪く聞こえちゃうかもしれませんが、もっと苦しめと。
もっと苦しんだ先に自分から出した答えが正解なわけで。
要は、僕らから与えた最初から、失敗する前に失敗しない方法を一生懸命教えるんですよ。
サッカーノート書いてと言って、正解を教えるわけです。
他の人から見ると「すごいしっかりやっているね」みたいな。
「そりゃ勝つよね」みたいな。そこまでやってれば。
当時の僕らはさらに(スポーツ)食育もいれていましたから。
メーカーに聞いて食事も、疲れの取りやすい食事、バランスの良い食事、そういったもの含めたものも取り入れていたので。
そういうの全部取り入れてやっていた中で、
全国大会出てはいたけど、毎年ベスト8くらいだったんですよ。
じゃあ、はたして2015年全国優勝したときしていたかというと、そんなこと全然してなかったんですよ(笑)

豊島前監督
へぇー、そうなんですね。(笑)

BRINCAR古居代表
じゃあ何が違うんだ?と考えた時に、やっぱりタフで自分で上手くなりたいと、自分から向かっているのか。俺たちが勝ちたいのか。
それで俺たちが勝ちたいというほうが大きすぎていて、そういった失敗しない手段を与えすぎてしまっていたので、さっき言ったスクラップ&ビルドではないですが、最初作ったものを壊して、無くそうと。
そんなことしなくても勝ったほうが凄いだろと思うし。
今回うちの10番のあのごっついやつは、全国大会中もどんどん食べていました。食育のメーカーから言われたのは、肉は食べちゃダメ、夜脂っこいもの食べると消化、吸収が悪いのでと言われたんですけど、うちはどんどん好きなの食べろと(笑)
ステーキ食べて、ご飯をおかわり6杯くらい食べて(笑)
フードファイトして遊んでいるんですよ(笑)

一同(笑)

BRINCAR古居代表
で、寝る時間も自由。
決勝トーナメント終わった後は、普通だったら帰って休養しなきゃいけないですけど、みんなで花火やったんですよ。駒沢体育館で。
子供たちの楽しいに勝るものはないと。花火やれば一気に疲れがとれちゃう。
食事も好きなもの食べたほうが良いんです。
子供たちは乳酸がたまるとかそんな事、トップ(カテゴリー)に行けばありますけど、小学生でそこをやったから勝つのかというところ。
僕らは逃げちゃいけない。日々の練習が全てなんだと。
日々の練習でどんだけみんながファイトしているかが最終結果に結びついているかというところなので。

スポーツメンタルをやっていましたが、子供たちにはそれを無くして、基本的には自分たちでそれをどうするのかを考えてもらうように。
勝つためにはどうするのか。
緊張するのものなんだから。
別に緊張なんて大した問題では無いんだから。
普段の練習しっかりやろうぜって。
削ぎ落して、シンプルに、とにかく何が大事なのかというところに去年一年間はフォーカスしてやってみたんです。そしたら優勝したから。
だから、練習ですね。練習。
日々の練習の積み重ねですね。
どれだけ追及するかという事が全てを凌駕するということが、今回改めて分かったので。
最後のコーチングもそうですね。何も言わなくても勝つんです。

RODA鶴見
その状態の時に、子供たちはピッチ内で、またはハーフタイムに子供たちが自主的に話し合うんですか?

BRINCAR古居代表
そうそう。

RODA鶴見
あっちの5番やべーからみんなで対応しようとか。

BRINCAR古居代表
そう。まさにそんな感じ。そうなってくるんですよ。
勝ちたいから。
「おまえがフィジカル的に強いからマーク変わって」とか。
「あそここうだったよ」とか。
ベンチに戻ってくるなり喋るようになるんですよ。
見ていると本当にスゲーなぁって。成長したなって思うわけですね。

RODA鶴見
それって介入していた当時とやっぱり違いは出るんですか?

BRINCAR古居代表
介入していた当時だと、指示待ちですよね。ある意味。
基本、カリスマですからね。僕が。(笑)

一同(笑)

BRINCAR古居代表
違うんです。みんなそうなっちゃうんです。実際そうなっちゃう。
全国優勝しているってなると、子供たちやっぱりピリつくし、僕が来ると子供たちやっぱりピリつくんですよ。
待っているんですよ。何か欲しい!と。早くくれ!と。
こういう風になっちゃうんで。
ただこうなると僕の世界観の選手になっちゃうから。
それはそれで僕の頭のイメージを全て体現してほしい訳ではないし、もっと枠を超えてほしいと。僕をもっと喜ばしてほしいと。これは実際言っているんだけど。
もっと発想豊かに。自分たちで。その中の崩しとか、運び方を。
だから、また今年のやり方と、今の4、5年生のやり方と全然違うんです。
全然違うので、疲れるんですけど。正解がないから。
本当は「これ真似すればある程度正解」があるのに、そんな真似しないでやるので。

RODA鶴見
今の5、6年生はまた違うんですか。

BRINCAR古居代表
大分違う切り口ですね。

RODA鶴見
それは具体的に言うとどんな感じですか?

BRINCAR古居代表
去年は基本的に1対1という事に対してどう追及するかというのでやっていました。
例えば、ルールとしてバックパス禁止みたいな。要は常に前を向く。どんな状態でも前に仕掛けようとする。というのに付属されて1対1を仕掛ける技術とボールを止めるという事に対しての技術をしっかり上げながら、ここをフォーカスしてやっていくような形だったんですけど、今年は最初っから、人を見て仕掛ける、1対1ではなく、人を見ながらのスペースとか空間からのです。
今僕らが言っているのは『反射』です。
『反応』ではなく『反射』です。
子供たちにはやかん触ったくらいだって言っているんですが。
やかん触って熱いってなるのは、脳が感じる前に勝手に体が動いているんであって、それと同じく、この人が動いた瞬間に侵入しろって言っているんです。見て、体が勝手に反応するくらい周りの事を見ながらプレーをしろと言っています。

4、5年生に反射しろって言っています。
反射、反射って言ってきます。コーチ今反射した?まだまだ反応だねって(笑)

一同(笑)

だから、みててすごく面白いです。
二人でどんどん崩していくから。
スイッチとか、幅の取り方とか、仕掛けとか、見ていてすごく面白い。
ただ、力強さはないですね。
まあ、新しい試みです。

RODA鶴見
では指導って、常に進化しているという事ですか?
全く同じメソッドというのは当てはまらないってことなんですか?

BRINCAR古居代表
んー、子供がそれぞれ違うので、やっぱり。

RODA鶴見
年代の違う子供によって当然?

BRINCAR古居代表
もし同じ練習をやらせていたとしたら、楽しているだけですね。
その子達にあった、あとは日本サッカー協会が作った練習メニューをやるのか、僕たちにあった練習をどうにかするのか、どういう風に考えているのかという事が。
僕たちからしたら、オリジナルのトレーニング内容とかっていっぱいあるんですが、気づいて欲しいことがあって、その練習をやっているというところであって、手段、手法は色んな事があって、本質的なところをどうするのかというところで行くと、練習内容自体は常にうちは独自に考えてやっています。
もちろんオリジナルでない部分もやっていることもありますが、なるべく新しくやっていかないと駄目だと思います。
前やっていたことをもしやってしまうと、何年後かに足元すくわれちゃうかなというのがあるので。
新しいものを常に創りだすという事が大事だと思います。

RODA鶴見
そういう指導方法のアップデートって、色々な映像、自分の好きな媒体からのインプットとかなのか、ある程度自分の中でのインスピレーションで生み出していくものなんですか?

BRINCAR古居代表
基本的に僕はインスピレーションですね。
子供たちを見ていて、こういう風にしたら面白そうだなとか、こうなったらどうなるのかな?とか。
好奇心ですね。うん。好奇心。
これやったらどうなんのかな?
これ結構無茶なんだけど、本当にできるのかな?って(笑)

RODA鶴見
例えば、この練習普通なら絶対やらないでしょみたいな面白いことありますか?

BRINCAR古居代表
んー、練習メニューで絶対やらないような事は、どうなんですかね。
たださっき言ったバックパスはないんじゃないですか。

豊島前監督
あ、バックパス禁止とかですか?

BRINCAR古居代表
公式戦で無しですからね(笑)

一同(笑)

豊島前監督
えっ、それはすごいですね(笑)

奥村監督
公式戦でなしでやっているんですか?

BRINCAR古居代表
バーモンドカップじゃないですよ。その、一般の大会とかで、バックパス禁止にして。

奥村監督
5人制ですか?

BRINCAR古居代表
そう。フットサルの大会で。

奥村監督
うちもバックパス無しでやったことあります。練習ではね。
やっぱり自分で戻ってきたりとか、自分でさがすってところでは効果的ですよね。

BRINCAR古居代表
そうそう。

奥村監督
あとはスペース空ける動きだとかも必然的に出てくるし。

BRINCAR古居代表
大分面白いですよ。
面白いというか難しい。待つことが。
それで結果とかはすぐ出ないので、それでも僕らは結果を求められるし、結果を出さなければならないので。
それでも結果が出るなら、その足かせを外したならばもっと余裕になりますので。
最初にそういう規制をかけながら、子供たちには状況設定を与えて、伸びるために必要な要素として与えています。
今は、、、どうですかね。
一気に動く練習が多いですね。
パス練習をしていても、一人が動いた瞬間に、他でパス練習やっている子も動く。
そういうのを結構トレーニングやっています。
みんなが自然と周りを見るようになる。
ただのパス練習ではなく、誰かかドリブルでアクション起こす、もしくはパスで抜けたら他の選手も一気にそれをやらなければならないという事をやっていると、練習としてはモビリティーがあってすごく面白いと思います。
まあ、効果が出るかどうかっていうところは、うちが今年全国いけるかどうか(笑)

一同(笑)

新しい事やっているので実際まだわからないです。でも出来ちゃってもし成功したらうちとしたら引き出しが一個増えるので、他は真似ができないからオリジナリティーが出てくるのでいいんですけど。

(新しく)つくらないといけないので面倒くさいんです。疲れるんです。
去年までやっていたことやれば本当に楽ですよね。でもやりません。飽き性なんですかね。
やりたくないです。(笑)

一同(笑)

やっていると面白いです。子供たちは面白いですよね。初めてやる練習は。

他でもそうだって聞いています。
湘南ベルマーレさんもそうだって聞きましたけど。

奥村監督
そうみたいですね!
ちょっとずつピッチサイズ変えたりとかもそうですし。
選手たちがまたこの練習かと思った瞬間にもう成長がなくなると。

指導者側もどれだけルーティーンとかじゃなくて、よりアップデートとブラッシュアップしているのかっていうのが大事。やっぱり楽してしまうと駄目ですかね。

村松(村松氏:湘南ベルマーレフットサルクラブトップチームコーチ)とかもそうですよ。
毎回練習違うので。

BRINCAR古居代表
あ、そうなんですか?

奥村監督
ベルマーレのトップチームのコーチやっているやつなんですけど。

BRINCAR古居代表
よく対戦したんですよ。U-15で。
もうバチバチなんです。バチバチ(笑)

一同(笑)

奥村監督
選手の絆をとにかく大事にするんです。

BRINCAR古居代表
とにかくうちとバチバチだったんですよ(笑)

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